Pythonではインスタンスを生成する構文が簡潔すぎて関数呼び出しとの差異を直感的にとらえにくい
インスタンスを生成する構文が簡潔すぎて関数呼び出しとの差異を直感的にとらえにくい。コードを誤解しやすく認識性が悪いのではないか。
Python のインスタンス生成構文はシンプルすぎて、関数呼び出しと視覚的にほぼ同じため、特に初心者や他言語経験者にとっては「これが何をしているのか」が直感的にわかりにくいという問題があります。
1. Pythonのインスタンス生成の例:
root = tk.Tk()
これを見ると、まるで「関数 Tk() を呼び出している」ように見えますが、実際は:
Tk は関数ではなく クラス(型)
Tk() は Tk.__init__() を呼んでインスタンスを生成している
結果として root は tk.Tk クラスのオブジェクト(インスタンス)
2. なぜ見分けにくいか
Python ではクラスと関数の呼び出し構文が同じ: 名前()
Java や VB のように new を明示しないので「どちらか」が一見で分かりにくい
たとえば:
def MyFunc():
return "Hello"
class MyClass:
def __init__(self):
self.msg = "Hi"
a = MyFunc() # 関数呼び出し
b = MyClass() # クラスのインスタンス化 ← 見た目は同じ
3. 他言語との比較
言語 クラスのインスタンス化
VB Dim x As New MyClass()
Java MyClass x = new MyClass();
Python x = MyClass()
Python には new キーワードがなく、クラスも関数も 「名前 + ()」で呼び出すという統一された構文です。
4. 認識性の低さによる弊害
クラスと関数の区別がコードだけではつきにくい
初学者が「なぜこれを使うのか」が理解しにくい
クラスベース設計の理解を遅らせる可能性がある
5. 回避策・補足的対策
明示的なコメントを添える
# これはクラスのインスタンスを生成
root = tk.Tk()
クラス名は慣例的に 先頭を大文字にし、関数名は小文字+スネークケースにすることで多少区別がつく
def start_transcription(): # 関数
class TranscriberApp: # クラス
型アノテーションを活用すると、IDE や補完でも認識しやすくなる
root: tk.Tk = tk.Tk()
まとめ
Python の構文はシンプルで柔軟だが、「クラスの生成」と「関数の呼び出し」の区別がコード上で曖昧になりやすいという欠点がある
記述が簡潔であることと、可読性・誤解の少なさは必ずしも両立しない
コメントや命名規則、型ヒントなどを活用することで、誤解を減らす工夫は可能