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2025年7月15日

農業と地球温暖化

農業と地球温暖化

農業から出る メタン(CH₄) と 一酸化二窒素(N₂O) は、どちらも強力な温室効果ガスで、地球温暖化の原因となります。これらは農業活動、特に畜産や肥料の使用に関連しています。具体的にどのように発生するのか、そしてその影響について説明します。

1. メタン(CH₄)
メタンは二酸化炭素(CO₂)に比べて温室効果が非常に強力で、100年間で二酸化炭素の25倍の温暖化効果を持っています。農業においてメタンが発生する主な原因は以下の通りです:

(a) 家畜の消化過程
牛や羊などの反芻動物(草食動物)は、食物を消化する際に腸内で発酵を行います。この過程でメタンを発生させます。反芻動物の腸内で働く微生物が草や植物を分解し、メタンを生成します。このメタンは動物がげっぷとして吐き出します。

例えば、1頭の牛が1日に発生するメタンの量は、約100〜200リットルと言われています。

(b) 湿地農業や水田
水田(特に稲作)では、土壌が水で覆われているため酸素が不足し、その結果、微生物が無酸素状態で有機物を分解します。この無酸素分解(嫌気性分解)の過程で、メタンが生成されます。

2. 一酸化二窒素(N₂O)
一酸化二窒素は、メタンほど強力な温室効果を持ち、CO₂の298倍の温暖化効果を持っています。農業において一酸化二窒素が発生する主な原因は以下の通りです:

(a) 化学肥料の使用
化学肥料(特に窒素肥料)が土壌に与えられると、土壌中の微生物が肥料中の窒素を処理する過程で一酸化二窒素が発生します。窒素肥料が過剰に使用されると、その一部が一酸化二窒素として大気中に放出されます。

(b) 有機肥料の使用
牛糞や鶏糞などの有機肥料も一酸化二窒素の発生源です。有機肥料が土壌中で分解される際にも微生物が一酸化二窒素を生成します。

(c) 土壌の管理
土壌の酸素供給が不足している場合、微生物は酸素の代わりに窒素化合物を使って有機物を分解し、その過程で一酸化二窒素を発生させます。例えば、過剰な水分や排水が不十分な状況などが影響を与えます。

農業からのメタンと一酸化二窒素の抑制策
メタンの削減策

飼料の改善:反芻動物が食べる飼料を改善することで、消化過程でのメタン発生を減らすことができます。例えば、より消化が良い飼料を与えることや、メタン発生を抑える添加物を使用する方法です。

家畜の管理:家畜の数を調整したり、げっぷを減らす技術(例えばメタンを捕える装置を使う)を取り入れることも効果的です。

水田の管理:水田の水位管理を適切に行うことで、メタンの発生を抑制することができます。

一酸化二窒素の削減策

窒素肥料の最適化:肥料の使用量を適切に管理し、必要な分だけ施肥することが重要です。過剰施肥を避けることで、N₂Oの発生を抑えることができます。

有機肥料の管理:有機肥料の使用を適切に管理し、過剰に使用しないこと。また、施肥タイミングを調整することが効果的です。

土壌改良:土壌の水分管理や通気性を改善することで、N₂Oの発生を減少させることができます。

メタンや一酸化二窒素は農業において避けがたい部分もありますが、技術革新や管理方法の改善によって削減可能です。持続可能な農業を実現するために、これらの温室効果ガスをどう抑えるかが重要な課題となっています。
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